全国の厚生省所管の国立病院・療養所が過去11年問に患者側へ賠償金を支払った医療事故が177件に上り、賠償総額は36億円余りに達していることが16日、同省の内郡資料で分かった。このうち、裁判を経ないため表面化しにくい「示談」で解決したケースが半数を超える98件あった。厚生省幹郡は「示談は病院の過失が明白な場合が大半で、ミスを表ざたにしたくない病院側の意向も働いている」と話している。国立病院の賠償の実態については、公表の現定がなく、明らかになったのは初めて。
★大阪、長崎中央両病院は、「地域の基幹病院として高度医療を担い、病床数も多いため、ミスが多いとは一概には言えないのではないか」、相模原病院は「ミスの件数が多いことは問題で、病床数などに関係なく、事故はなくすべきだ」、国際医療センターと埼玉病院は「詳しい事実関係は分からない」とそれぞれコメントしている。
年ごとに膨らむ賠償金額
★示談を含めた1件当たりの賠償額は平均2034万。厚生省は賠償件数や額の増加に伴い、89年度に3900万円だった国立病院・療養所の賠償予算額を順次増やし、98年度は5億5000万円まで引き上げ、99年度はさらに7億円まで拡大している。
★厚生省国立病院部は「医療事故の情報は今後、フライバシーに配慮しながら、示談のケースも含め公開する方向で検討したい」と話している。【医療問題取材班】
早急に情報公開を(医療事故問題に詳しい吉川孝三郎弁護士の話)
★国は裁判手続きを経なければ賠償に応じないのが常識とみられていたたけに、半数以上が示談で解決していたとは驚きだ。示談は病院側の一方的な過失により争う余地のないケースで、悪質なミスが隠されている疑いが強く、早急に情報公開すべきだ。