術後の抗癌剤@ 早期胃癌では「不要」!
抗癌剤の使用の有無は、5年生存率では、差が出ない
かえって、副作用が心配
厚生省研究班:朝日新聞(97-10-28)から引用
★胃がんを早く見つけて手術した後に、念のために抗がん剤を使う治療を続けても延命の効果に差が出ない。こんな研究結果を、厚生省の「固形がんの集学的治療の研究班」(班長、下山正徳・国立名古屋病院長)がまとめた。
★手術後に抗がん剤を使った患者と使わなかった患者の五年後の生存率に、統計的に意味のある違いが出なかった。抗がん剤を使う必要がなけれは、副作用を避けられ、医療費も減らせそうだ。
公立の癌専門病院で、大規模実験をして、差がないと判明した
★研究班は、肺がんや乳がん、リンパ腫などの標準的な治療方法の確立を目指している。今回は、胃がんの外科治療グループの結果で、癌研究会付属病院、国立癌センター、愛知県癌センター、大阪府立成人病センターなど7病院が参加した。
★対象は早期がんと、胃壁の外側に近い漿膜下層までの比較的早期のがん。抗癌剤の有無で、2グループに分けて調査
★1988年から92年に7病院で手術した患者を、手術だけの285人と、抗がん剤を使う288人に無作為に分けた。
★抗がん剤のグループは、2種類を週に2回ずつ3週間点滴するとともに、別の1種類を飲む療法を1年半続けた。
★5年後の生存率を比べると、手術だけの生存率は82.2%、抗がん剤を使った場合の生存率は85.1%。統計学上の差はないと判断された。
★研究グループは、こうした症例については術後に抗がん剤を使う療法は不要と判断した。
編者注:「早期胃がん」とは、胃がんのうち、(胃壁は5層に分かれているが)最表層の粘膜層や2番日の粘粘膜下層までにとどまっているものをいう。
編者コメント:このような臨床試験(治験)に参加した患者さんは、「抗癌剤の使用有無」についての医師の説明を十分に理解していたのでしょうか。
抗癌剤の使用目的は、転移や再発の予防
★胃がんを早期にみつけて手術をしても、体の別の部分への転移につながる周辺リンパ節への転移やその恐れがあったり、がん組織を全部取り切れていなかったりする可能性も残る。
★このため、手術後に抗がん剤を使うことがよくあり、補助化学療法と呼ぶ。研究で抗がん剤を使うグループの患者に用いたのは、補助化学療法として多くの病院で普通に採用されている方法という。(中略)
★研究グループの代表者の中島癌研病院副院長は「研究で、転移していない早期がんには補助化学療法は無効という結果が出た。このような研究は治療上の課題を解決する最終のステップで、早期胃がんの治療指針に一つの結論を得た。協力していただいた患者さんに感謝したい。リンパ節転移があった場合はさらに研究の必要がある」と話している。