術後の抗癌剤B 術後の延命効果見直し
臨床試験のやり直し、臨床試験の指針が見直される
厚生省研究班:朝日新聞(97-12-07)から引用



★癌の手術後に転移や再発を防ぐ目的で使われる抗癌剤が、患者の延命や生活の質の改善に役立っているかどうかを評価する臨床試験のガイドライン案を、厚生省の抗癌剤市販後研究班(班長、阿部薫・国立癌センター総長)がまとめた。
★現在使われている抗癌剤には、こうした効果が確認されていないものが多く、研究班は手術後に使うすべての抗癌剤について改めて長期間の臨床試験を実施するよう求めている。試験の結果次第では、抗癌剤の使い方が大幅に見直される可能性がある。

たった20%の患者に有効で、抗癌剤として承認している現状
★(中略)抗がん剤は、進行性のがんや再発がんを対象にした臨床試験で、約20%以上の患者にがんの縮小効果が認められれば、副作用を考慮したうえで厚生省が薬として承認する。
★それを、手術後の補助化学療法として使うのは、進行がんが縮小するなら転移や再発も抑えられるという期待からだ。
★しかし、早期胃がんや一部の肺がんなどでは、複数の抗がん剤を手術後に使っても延命効果に差が出ないという報告がある(詳細は「術後の抗癌剤@、A」参照)。

これまでの抗癌剤の臨床試験(治験)はアイマイ
★また、延命効果などの判断に欠かせない承認後の長期間の臨床試験は、1991年以降の承認分に義務づけられるまでは必要とされず、その後に承認された抗がん剤でも統一的な評価方法が確立されていない。

大半の抗癌剤で、延命効果が未確認!今になって、臨床試験の見直し計画を開始
★研究班はガイドライン案で、91年以前に承認された(抗癌剤の)大半を「延命効果、生活の質の向上効果が確認されていない」と指摘。
★すべての抗がん剤について、手術後の補助化学療法に使う場合に一定の手順で臨床試験を実施、
  @再発しないで生存する期間
  A副作用
  B生活の質の改善、
などを指標に患者の利益を評価するよう求めている。(中略)

抗癌剤が患者のためのものか、見直しの時
★新しい臨床試験の結果によっては、手術後の使用を認めないなど抗がん剤の種類ごとに使用法が大きく見直される可能性がある。
★阿部薫班長は「抗がん剤が手術後に使われた場合、患者の生存期間を実際に延長するかどうかを確かめる臨床試験が十分に実施されていない。抗がん剤が本当に患者のためになっているのかを医学の進歩に基づいて見直すことが必要だ」と話している。